シリーズ: 元気が出る食卓:食育編

1. 食育とは

現在私たち人間は、空腹を満たすための食べ物を簡単に手に入る環境にいます。足りない栄養素は、手軽に栄養補助食品やサプリメントで補える時代です。しかし、人間は生きていくために必要な栄養分を、ただ口にすればいいのでしょうか?

今、食生活で問題になっている6つの <こ食> をご存知ですか?

①孤食: 一人で食べる
②個食: それぞれが好きなものを食べる
③固食: 決まったものしか食べない
④粉食: 粉ものばかりを食べる
⑤小食: 食べる量が少ない
⑥濃食: 調理済み食品など味の濃いものばかりを食べる

離婚や単身赴任で両親が揃わなかったり、子供の習い事や親の仕事の関係で食事時間がバラバラになるなど、様々な理由で家族全員が食卓を囲むという機会が少なくなっています。特に子供の場合、一人きりの食事は好き嫌いが増え、食事量も不足しがちです。食卓に会話がないので、社会性や食事のマナ-が身につきません。また、たとえ家族が揃っていても、もし、お父さんはおつまみとビ-ル、お母さんはパスタ、子供たちはピザと、まるでどこかのレストランのように、各々が好きなものを食べていたらどうでしょう? これは協調性のない、人から注意されるとすぐにムカついたり、キレたりするような性格形成を助長してしまうのではないでしょうか。

家族の食卓は、子供の健やかな体の成長を育むだけではなく、人格形成のためのかけがえのない 「しつけの場」 でもある事を大人こそが再認識しなければなりません。

日本では、2005年に  <食育基本法> が施行されました。この中で、「食育は生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきもの」と位置付けしてあります。

また、子供たちのみならず、おとなにも食育は大事だと考えます。食事の回数は1日3回、1年では1095回にもなります。この1095回の食事をいい加減にすごすか、栄養バランスのとれた適切な食事を心がけるかで、将来大きな差ができてきます

2. 食育の三本柱

1, 選食力を養う
食べ物に含まれる栄養素を知ることはもちろん、その食材の旬、調理法、安心、安全な食品選びのための知識を身につけましょう。

★子供たちと一緒に買い物へ行きましょう!
傷んだ果物、萎れた菜野菜、ひびが入った卵は買わない、期限切れが近いミルクは買わない、などお母さんがチェックしている事を子供は見ています。また、一緒にラベル表示を見る事も勉強になります。「グミやコ-ラ-にどれだけの砂糖が入っているか知っている?」 「ソーセ-ジにはたくさんの添加物が入っているんだよね」 など、お母さんとの会話から子供たちが学ぶ事は多いはず。

★旬を知ろう
旬の食材は、味がよく、栄養価も高いのをご存知ですか? また、旬の食材はその季節の人々に必要な栄養素を多く含んでいると考えられます。例えば、春の訪れとともに自然界は活動が活発になり、人間の新陳代謝も盛んになります。この時期に店頭に並ぶ苦味のある野菜は、胃の働きを活発にさせてくれます。また、暑い夏には、豊富な水分を含むきゅうり、なす、トマトなどがほてった体を冷やしてくれるなど、知らないところで私たちは恩恵に預かっています。

★安心、安全な食品選び
日本では食品偽造の問題が毎日のように取り上げられ、食の安全性に対し不安を感じている人は多いと思います。農薬、遺伝子組み換え、BSE、食品添加物 など、不安になる要因はさまざまです。生産者や加工業者の取り組みはもちろんですが、私たち消費者も食事や食材に関心をもち、食品の安全性を見抜く力を養う努力が必要です。

2, 食事のマナ-を身につける
正しい箸やフォーク、ナイフの持ち方、食前食後の挨拶、食べる時の姿勢など、マナ-をきちんと身につけさせることはとても大事です。8歳までにこれらを身につけさせる事が理想的とされますが、決して遅いということはありません。親がお手本をしめし、根気よく言い続ける事。身についた作法は一生ものです。

3, 食料、環境について考える。 「MOTTAINAI-もったいない運動」
現在、世界には満足に食事がとれず栄養不足になっている人が、約8億4000万人にのぼると言われています。日本では食品廃棄物の55%は一般家庭から発生するものです。日本には古くから 「もったいない」 という言葉とともに、「物を大切にする」 という考え方が浸透していました。飽食の時代と言われる現代こそ、一度原点にかえり、「もったいない」 の精神を大切にしてくことが、世界の食料事情の改善や環境保全につながっていくと思います。

3. 調理加工食品

調理加工食品とは、そのままか、あるいは加熱、解凍するだけで食卓に供給できるものを言います。目的は、“調理の利便化”“長期保存”で、大まかに分類すると以下のようになります。

1)冷凍食品 下ごしらえをした食品を急速冷凍したものの総称で、フライドポテト、茹でた野菜、フレッシュベリー、ミートパイ等の加工品など、種類が豊富です。これらは、-35℃~-75℃内の温度で急速冷凍されており、-18℃以下で保存するのが理想です。家庭では、どうしても冷凍庫の温度が上がりがちなので、約3~6ケ月で使いきるようにしましょう。

*生食用冷凍食品(ホタテやさしみイか)の細菌規制は、『食品1グラム中細菌数10万以下、大腸菌群陰性、腸炎ビブリオ最確数が100以下』と他の食品と比べ大変厳しく、非常に衛生的に処理されていますが、その後の冷凍保存が悪いと細菌数が増えます。常温下に長時間放置などはしないようにしましょう。

2)チルド食品 チルド(いわゆる冷蔵庫に入れる食品)食品は、0℃~3℃で保存されるべきですが、家庭の冷蔵庫は、キャパシティ-の問題と開閉の頻度で、温度が上がりがちです。“冷蔵庫に入れているから大丈夫”と過信は禁物です。

3)缶詰・ビン詰め食品 果実などの酸性食品を除き、ふつう110~120℃の高温で加熱殺菌されますので、生鮮食品や家庭で調理した食品と比べて、栄養価が劣ると考えられがちです。 しかし、缶詰は、大量に出回る時期(旬)の新鮮な原料を使って、高い真空下で空気を遮断して加熱殺菌が行われていますので、家庭で調理されたものより、むしろ栄養価が高いといえます。 野菜缶詰を例をとってみますと、原料の種類、調理の方法、加熱殺菌の条件によって一概にはいえませんが、ビタミンAは80~100%、ビタミンB1は20~50%、ビタミンB2は60~90%、ビタミンCは50~80%とみてさしつかえありません。また、加熱殺菌により、たん白質、脂肪、糖質などの栄養素は、減少することはありません。 注) 缶詰の液汁を含む 開封後は必ず他の容器に移し、保存しましょう。

4)レトルトパウチ食品 プラスティクフィルム、または金属の袋に食品を詰めて密封し、加圧加熱殺菌をした食品のことです。缶詰同様、常温で保存できます。まんがいち、袋が膨張している場合は、袋の中で腐敗がおきていますから、直ちに破棄してください。

5)インスタント食品 即席麺など、ある程度加工処理がされており、手軽に食べることができます。しかし、賞味期限の過ぎたもの、保存方法の悪い製品はたまに残った油分が酸化しており、酸化油脂特有の油臭さによって吐き気、ムカつきを催す場合があります。

4. 食品表示

健康な食事は、栄養面だけではなく、安全面にも配慮する必要があります。食品や食材に記載されている表示やマ-クの見方を覚えておけば、食材選びもスム-ズになります。ここオーストラリアでは、The Food Standards Australia and Nez Zealand(FSANZ)によってコントロ-ルされています。
www.foodstandards.gov.au/foodmatters/foodlabelling/

名称(Product Name)
ブランド名(Brand Name)
商品名は必ず正確な名称&記述でなければならない。
原材料名(Ingredient List)
パ-センテ-ジ(%)表示
材料は、重量の重い順から表示されている。材料によっては%が表示されているものがあるが、商品の特徴をあらわす商品に表示される。たとえば、ヨーグルトで“フル-ツサラダ”と表示されている場合は、それぞれのフル-ツの重量がかかれている。
栄養成分情報
(Nutrition Information Panel)
100g中及びOne serving (1人用)中の カロリ-(4.184 kilojoules= 1 kcal)蛋白質、総脂質、飽和脂肪酸、糖質、砂糖、ナトリウム(ナトリウム(mg)×2.54÷1,000=食塩相当量(g))が表示されている。
消費期限
(Best before/Use by)
Best Before:この期間をすぎても食べられるが、本来の味や食感がそこなわれている可能性がある。
Use by :この期間をすぎると腐敗や変質、劣化による衛生状の危険があり、法的にも販売できない
販売者の詳細
(Manufacturer Details)
その商品に責任を持つ業者、企業の詳細。
保存方法
(Instruction for storage.)
消費期限まで、安全にかつ品質を損なわないために、常温、冷蔵、冷凍など(保存温度を含む)保存方法の明記
内容量
(Products Weight)
g、kg、ml、lで表示されている。
産地
(Country of Origin)
Product of Australia:オーストラリアの原材料を使い、オーストラリアで製造されたもの。
Made in Australia:輸入原材料も使用し、オーストラリアで製造されたもの

5. 食品表示2-食品添加物

◆食品添加物とは
食品を、製造、加工、保存する際に使われる調味料や保存料や着色料の総称です。日本人は1日平均約0.1g摂取していると言われています。添加物は、ビタミンC(vitamin C) やアスコルビン酸(ascorbic acid )、レシチン(lecithin)のように天然の食材からとれるものと、全く化学的に合成されたものがあります。

◆使用目的別を分類すると

1, 食品の製造や加工のために必要なもの: 酵素、ろ過助剤、油脂溶出剤、消泡剤や酸・アルカリなどの加工助剤などが含まれます。

2.食品の風味や外観を良くするためのもの: 食品の色合いを良くする着色料・発色剤・漂白剤など、香りを付ける香料、味を良くする甘味料・調味料など、食感を良くする乳化剤・増粘安定剤などがあります。

3. 食品の酸化・変敗、微生物の繁殖による腐敗などを防止して、食品の保存性を高めるためのもの: 保存料や酸化防止剤の他に、殺菌料、防かび剤などがあります。

4. 食品に本来含まれる栄養成分や人に必要な栄養素を、補充・強化する目的で加えるもの: ビタミン、ミネラル、アミノ酸などがあります。

◆食品添加物の名前とコード番号

添加物表示ですが、“colour (133)“や”preservative (220) “のように使用添加物の後に番号がついています。この番号は、実際に使用された添加物の名前を表すもので、“colour (133)“とは、’colour (Brilliant blue FCF)’.の事です。全ての添加物の名称と番号は、下記を参考にして下さい。http://www.foodstandards.gov.au/newsroom/publications/choosingtherightstuff/foodadditivesnumeric1680.cfm

◆食品添加物の使用目的 (一部)

pH調整剤 Acids / Alkalis 味、風味に関係する他に、細菌増殖をコントロ-ルし、日持ちをよくするために使用。市販のおにぎりやお弁当などにも使用されている。
凝結防止剤 Anti-caking agents 例えば食卓塩、ミルクパウダ-のように、パラパラとした状態を保つために使用される。
抗酸防止剤 Antioxidants 油脂などの酸敗を防ぐ。
着色料 Colourings 食品を着色する。 例:ケ-キ、砂糖菓子、飲料
乳化剤 Emulsifiers 水と油のように混和しないものを均一に乳化する。
例:マ-ガリン、マヨネ-ズ、ドレッシング
調味料 Flavour enhancers 様々な加工食品に使用されているが、食品に旨みを加える。
増粘剤 Thickeners 食品になめらかさや粘り気をあたえる。 例:ス-プ
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